ぼくの神さま 「EDGES OF THE LORD」
■ぼくの神さま 「EDGES OF THE LORD」 2001年・米/ポーランド
■監督 ユレク・ボガエヴィッチ
■製作 ゼヴ・ブラウン、フィリップ・クラップ
■脚本 ユレク・ボガエヴィッチ
■音楽 ジャン・A・P・カズマレック
■キャスト
ハーレイ・ジョエル・オスメント (ロメック)
ウィレム・デフォー (神父)
リアム・ヘス (トロ→ロメックのいとこ)
リチャード・パネル (ヴラデック→トロの兄)
<あらすじ>
1942年のポーランド。
ナチス軍侵攻により、ユダヤ人迫害を恐れたロメック少年の両親は、ロメックを親戚の家に預ける事に。
たった一人知らない土地にやって来たロメックは、暗い日々を送っていた。
戦時中の悲惨さ、残酷さ、まさに目を覆いたくなるシーンもいくつかありながら、大自然の景色が特に美しく、子供たちの純粋な心に惹きつけられます。
キャストは、ロメック役に、『シックス・センス』(1999)で若干11歳の若さでアカデミー助演男優賞にノミネートされたハーレイ・ジョエル・オスメント
村の神父役に、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』(2000)でアカデミー助演男優賞にノミネートされたウィレム・デフォーなど。
ロメック少年が預けられる親戚宅の長男ヴラデックと次男トロが、とても魅力的なんですね~
ヴラデックは目つきが鋭く、まだ子供なのに既に男の色気を感じさせる素質あり。
若きリヴァー・フェニックスに似ているような気がします。
トロは、まだ7歳か8歳くらいだと思うのですが、とても演技が上手で本当に驚きです。
彼らの芸達者ぶりには、オスメント君も真っ青!
是非、観ていただきたい作品のひとつです。
(NHK衛星第2にて鑑賞)
<これよりネタバレしてます>
とにかく悲惨な内容であり、戦争の凄まじさが伝わってきます。
戦争を知らない世代のわたくしでも、十分戦争のドロドロした背景を体感出来たと思いますね~
映画を観ているわたくしたちは、映画が終われば戦争の事も忘れてしまうでしょうが、映画ではなく実際にこの時代を生きていたユダヤ人が居たという事実をもっと考えなければなりません。
彼らは、いつまでも悪夢に縛らた事でしょう。
本当に地獄です…
ユダヤ人は、自分がユダヤ人である事を受け入れ、そしてある時は偽り、ナチス軍の存在に怯えて生活しています。
ロメックが預けられた親戚の家にも、ロメックと同世代のヴラデックとトロが居ます。
彼らもまたユダヤ人であり、どこか諦めきったような絶望感の中、ある日、キリストもユダヤ人だったという話を聞いたトロ少年に変化が…
自ら苦行を積み、キリストのようになりたいと切望するトロ。
手の平に杭を刺そうとし、またある時は、仲間に懇願し木に縛り付けてもらうなど、幼い彼なりに苦行とは何か?を模索します。
しかしどうしてもいつも邪魔が入り、修行にならず。
ついに、彼は、ナチス軍に「自分はユダヤ人だ」とアピールし、強制収容施設行きの列車に自ら乗り込みます。
苦しみに飛び込み修行を積み、いつか自分もキリストのような神になり、ユダヤ人である辛さからみんなを救おうと真剣に考えているトロの姿に、戦争が引き起こす狂気を感じましたね。
主役は、ロメック少年のハーレイ・ジョエル・オスメントになってますが、真の主役はやはりトロ少年です。
あんなに可愛らしい天使のような顔なのに、一瞬見せる激しく強い視線。
素晴らしい俳優になるでしょう。
彼の演技がピカイチでした!